散華～戦国の世に舞う百華の如し～

女性アイドルが歌う楽曲としては異色中の異色作であろう作品となりましたが、
歴史（特に戦国時代と幕末）好きの私としては、この題材でのオファーが来た際は、
嬉しさと意欲で、武者震いと共に体内に気が充満していくのを感じられたほどでした。

「好きこそ物の上手なれ」とはよく言ったもので、
制作にかかった時間は過去最短であろう４時間弱ほど。
しかしながら、出来としては最高傑作を自負しており、
個人的にも大変に想いのこもった作品となっています。

ただ、仮面女子メンバーにとっては「天地-AMATSUCHI-」や「ハル・メギド」と並んで、
非常に難解な内容の歌詞になった事は否めません。

そこで今回は、私が彼女たちに歌詞の内容を解説するために送った文面を、
そのまま転載して、ご紹介しようと思います。

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歌詞解説『散華～戦国の世に舞う百華の如し～』

まず作品全体がどのようなイメージで作られているかをご説明します。
戦国時代を題材としたゲームの楽曲という事で「戦国武将の生き様」を描いてあります。
主君と呼ばれる人はもちろんですが、それに仕える人達も含め、自らの大義の名のもとに、
信じる道を進み続け、その為には命すらも惜しむ事はない・・・
そんな猛々しくも儚い、儚くも美しい武将達の生き様を表現しました。

上記した全体像を理解して頂いた上で、以下の歌詞についての詳細解説を読んでみて下さい。
赤文字で歌詞を表記し、その下に解説や意味を記載していきます。

散華～戦国の世に舞う百華の如し～
華が散ると書いて「散華（さんげ）」と言いますが、これは「戦死」を美化した言葉です。
今回は「はらら」と読ませています。
花に例えた武将が死して散る様を「はらら・・・」という花びらが散る時の擬音で表現しました。
「散ぐ」と書いて「ははらぐ」と読み、「バラバラになる」という意味となります。
副題の「戦国の世に舞う百華の如し」は戦いの中で戦死していく武将達を舞う花に例えています。

冒頭の一文は後に同様の歌詞が出てきますので、一旦解説は飛ばします。

己を懸けて貫く意気地　罷り成らずも生ける宿命
戦国時代という乱世に生まれてしまった宿命に逆らう事は出来ない。
ならば生きよう。生きて自らの思いを、自らの命をかけて遂げよう・・・という内容です。

御身を窶し縁を絶ちて　謀る事も戦術と識りて
「身を窶す」とは顔形が変わってしまうほどに思い悩む様子です。
この時代は実の親子や兄弟であっても、戦い、殺し合うという事が多々ありました。
そんな相手すら謀略にかけて陥れなければならない運命に苦悩しながらも、
覚悟を決める・・・という内容です。

掲げるは旗印　天下布武を成就せん
誰が為に　主君　其の為に　嗚呼
「旗印」とは軍旗の事です。
軍旗を掲げて戦いに挑み、天下統一を成し遂げよう。
それは誰の為に？もちろん自らが仕える主君の為である・・・という内容です。

華舞いて参らむや　身命を賭して為して　斬咲かれし夢現に墜つるとも
其処に凍て誇らむや　逝き過ぎて散るらむや
戦場に向かい、命を懸けて戦いを挑み、刃に倒れ戦死し、
その体は弔われる事無く戦場で風化していきます。
けれども勇ましく戦い、散っていった事を誇りに思おう・・・という内容です。

誠の誓い果たすは大義　是非に及ばず確と見遣れ
「大義」とは主君に対し尽くすべき道です。
「是非に及ばず」とは良し悪しの判断などする必要も無く、どうしようもない事を指します。
つまり、主君への忠誠や誓いを果たすためには良し悪しなど考えるまでもない。
我が働きを確と見よ（しっかりとその目に焼き付けろ）・・・という内容です。
補足ですが「是非に及ばず」という言葉は織田信長が本能寺の変にて明智光秀に襲撃を受けた際、
発せられた名言として語り継がれており、非常に有名です。

口惜しく腑甲斐なし　不倶の敵　跋扈せん
「不倶の敵」とは「不倶戴天の敵」という言葉にも置き換えられますが、
意味としては「同じ天の下には生かしておかない」という強い恨みを現しています。
跋扈とは世にのさばる事です。
つまり、どうしようも無く憎い敵がのさばっている様が悔しい・・・という内容です。

討ち破り　主君　我が胸に　嗚呼
上記した憎き敵を見事に討ち取り、主君を想っている様子を表現しています。

統べる刃の業よ　天魔 IN SAMURAI
死すれど此の魂　戦国SOUL
荒ぶ乱世の常よ　天魔 WITH TOMURAI
義を以て此の魂　戦国SOUL
焔纏わん　放たん　栄華の終焉 SO 下剋上
戦国FIGHT　嗚於　猛き武のMIND　栄枯盛衰　禮！
RAP部分は「織田信長が本能寺の変にて討ち取られる様子」が描かれています。
信長は延暦寺の焼き討ちなどをした後に仏教徒から「第六天魔王」と呼ばれるようになります。
天下統一を目指し、戦場に身を置き続けた武将・信長の身に天魔が宿ります。
しかし、その猛将は家臣である明智光秀の下剋上を受け、本能寺にて炎にまかれ戦死します。
そんな彼の栄枯盛衰の生涯をこのRAPの中に盛り込みました。

生命の礫　水面を搖らし　波紋は消えて悠久の凪へ
「生命の礫」は戦場に散っていった武将たちの魂です。
それが乱世の中で大きな波紋となり時代を揺るがします。
「凪」とは波も無く穏やかな状態を指す言葉です。
つまり、長きに渡る戦いの時代が終わり、そこから更に時が流れ、
我々の生きる平和な現代に移り変わった・・・という物語の結びとなる歌詞となっています。

最後に、この楽曲はゲームの内容をイメージした作品であると共に、
同じく戦国時代と言われているアイドル界において天下統一を目指す皆さんの事もイメージしています。
ですので、あくまでも上記は世界観の理解の一助として頂き、
作品に乗せる感情としては「アイドル天下統一目指して魂を燃やすぞ！」
というものと捉えてもらえば宜しいかと思います。
以上です。

武村 大
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いかがでしたでしょうか。
上記をご一読頂いて歌詞の意味と同時に、彼女らがしっかりと内容を理解した上で、
作品を演じているのだという事も知って頂けたと思います。

歌詞を理解せずして最良のパフォーマンスになるべくもなく、
また、メンバーが作品の持つ意味や背景を理解する気持ちを無くしたならば、
私は迷わず彼女たちに歌詞を書く事をやめるでしょう。
それは、作り手と演じ手という二つの「手」がガッチリと繋ぎ合わさってこそ、
初めて作品に命が宿ると信じているからに他なりません。

これからも仮面女子メンバーには、その精神を忘れずにいて欲しいと願うと共に、
私自身も初心を忘れずに制作に取り組んでいかなければと、兜の緒を締める次第です。




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散華～戦国の世に舞う百華の如し～
作詞:武村大　作曲:宮下浩司


華舞いて参らむや　逝き過ぎて散るらむや　散華(はらら) ―――

己を懸けて貫く意気地(いきじ)　罷(まか)り成らずも生ける宿命(さだめ)
御身を窶(やつ)し縁(えにし)を断絶(た)ちて　謀る事も戦術(すべ)と識(し)りて

掲げるは旗印　天下布武を成就せん
誰(た)が為に　主君(きみ)　其(そ)の為に　嗚呼

華舞いて参らむや　身命(み)を賭して為して　斬(きり)咲(さ)かれし夢現(ゆめ)に墜つるとも
其処に凍(い)て誇らむや　逝き過ぎて散るらむや　散華(はらら) ―――


誠の誓い果たすは大義　是非に及ばず確(しか)と見遣れ

口惜しく腑甲斐なし　不倶の敵(かたき)　跋扈(ばっこ)せん
討ち破り　主君(きみ)　我が胸に　嗚呼

華舞いて参らむや　身命(み)を賭して為して　斬(きり)咲(さ)かれし夢現(ゆめ)に墜つるとも
其処に凍(い)て誇らむや　逝き過ぎて散るらむや　散華(はらら) ―――


統べる刃の業よ　天魔IN SAMURAI
死すれど此(こ)の魂(み)　戦国SOUL
荒(すさ)ぶ乱世の常(じょう)よ　天魔WITH TOMURAI
義を以て此(こ)の魂(み)　戦国(せんごく)SOUL
焔(ほむら)纏(まと)わん　放(はな)たん　栄華の終焉(おわり)　SO　下剋上
戦国FIGHT　嗚於　猛き武のMIND　栄枯盛衰　禮(らい)！


生命(いのち)の礫(つぶて)　水面(みなも)を搖(ゆ)らし　波紋は滅(き)えて悠久(とわ)の凪へ

華舞いて参らむや　身命(み)を賭して為して　斬(きり)咲(さ)かれし夢現(ゆめ)に墜つるとも
其処に凍(い)て誇らむや　逝き過ぎて散るらむや　散華(はらら)


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